空燃比計の取付です。
自分で現車合わせするんでも無い限り、あまり必要の無いメータです。高いですしね。
空燃比計は高いのと安いのしかありません。中間のグレードというのはありません。
で、高いのと安いので何が違うのか?精度が全く違います。
安いのは自動車メーカ純正の廉価O2センサを使って、条件に合うときの理論空燃比だけ分かります。
高いのは自動車メーカ純正の高級O2センサを使って、よほど的外れな使い方をしない限り10〜20のA/Fが分かります。
では、高いセンサと安いセンサで何が違うのか?精度と適合範囲の違いの原因は何なのでしょう??
コンピュータがエンジンを制御する上でO2センサが必要になります。目的は、触媒使って排気ガスの浄化を図ることです。
排気ガスの中には、燃焼で生じたCO2・H2Oだけでなく、未燃焼のHC(炭化水素:ガソリン)やCO・NOxが混じっています。これらの燃焼ガスの分子の結合の組換えを触媒が促すわけですね・・・多分。点火系がパンクして生ガスが大量に触媒に送られると、生ガスを燃焼させて触媒が高温になります。発火や過熱を避けるために温度センサがついてます。運転席のサンバイザーの裏に「エンジンチェックランプが点灯したら・・・云々」と書いてあるのは、これの事ですね。
話がズレて来ましたが、要するに理論空燃比を保つことでCO・HC・NOxを減らそうという作戦です。
単純な話、初期のエンジンコントロールでは理論空燃比を保つのが目的だから、理論空燃比よりも濃いか薄いかが分かればそれで十分でした。
一般的に、
- 理論空燃比
- 14.7と言われています。計算で出すと15位になったんですが、・・・
ガソリンの発生熱量は分かるのですが、空燃比・ガソリンの成分によって若干上下動します。
ガソリンは炭素Cと水素Hの化合物なんですが、組み合わせにより性質も変わってきます。
ガソリンの種類で馴染み深い分け方は、ハイオクとレギュラーでしょうか。
ハイオクとレギュラーの違いはオクタン価によります。C7H16をノルマルヘプタン・C8H18をイソオクタンと呼びます。
オクタン価=(イソオクタン/(イソオクタン+ノルマルヘプタン))×100 (重量比)
オクタン価95以上でハイオクだったような気がします・・・ちょっといい加減・・・
ノルマルヘプタンの空燃比は・・・
2C8H18+25O2→16CO2+18H20+熱(46,000kJ/kg)
その昔、すいへいり〜〜べ・・・と習ったあれによると重さはH=1,C=12,O=16ですから燃料と酸素の重さの比率は、
2(1×12×8+1×1×18):25×16×2=228:800≒3.51
ガソリンの3.51倍の重さの酸素が必要であることが分かります。
これを大気に換算するには、O2の分子量が31.9988で空気分子中の割合が21%、空気の分子量が28.967なので、空気中に酸素が占める割合は、
0.21×31.9988/28.967≒0.232
ガソリンの3.51倍の重さを含む空気の重さは、
3.51/0.232≒15.1
ということで理論空燃比は15.1になってしまいました。まぁ、ガソリンの種類によって空燃比が変わるんでしょう。
- 出力空燃比
- 12.5らしいです。
- 経済空燃比
- 経済空燃比は17と言われてます。理論空燃比は計算で求めることが可能ですが、出力空燃比や経済空燃比は実験的にしか求めることが出来ません・・・多分。ので、この数字を鵜呑みにするのは如何かと思います。あまり薄くすると燃えにくくなるので、失火して逆に経済性が落ちるようです。ガソリン消費量の低減のために色々な燃焼室の形状や吸気・混合方法が考えられてきました。DI(ダイレクトインジェクション)を用いたリーンバーンエンジンなどは、かなり薄いA/Fで動いてます。
空燃比でなぜ出力が変わるのか、不思議でないですか?
CがOと結合して燃焼する場合、COになるときよりもCO2になる場合のほうが発熱量は多いです。エンジンは熱エネルギを運動に変えてますから、元の熱量が多いほうが出力も上がりそうな気がしますよね。にもかかわらず、理論空燃比よりも濃い、つまり発熱量が小さくなるにもかかわらず出力は大きくなるんです。
仕事と仕事率の違いなんですね。出力空燃比の方が時間当たりの発熱量が多いということです。
燃焼速度というやつですね。